個人山行 朝日岳・雪倉岳

個人山行 朝日岳・雪倉岳 (3-E 岡本 新次)

2 0 1 4 年 8 月 3 日( 日 )~ 5 日( 火 ) 岡本単独 天気:曇り

まだ若い頃、テントを担ぎ蓮華温泉から白馬の縦走をした。その後、白馬は何度も行っ ているが、蓮華温泉→朝日岳→雪倉岳→三国境はそれっきりになっていた。最近は、思い出登山が増えてきたが、これも年の所為かと思ったりする。

体力の衰えもあり、蓮華温泉で前泊する。昔は小屋の前に水路を引き、その上にトイレという自然の水洗トイレがあったのを思い出す。今は、陰も形も無い。白高地沢まで標高 差約300mの滑りやすい木道を慎重に下る。兵馬ノ平を越えると瀬戸川の橋がある。昔は上下2本のワイヤー橋を重いキスリングを担ぎ、バランスを崩さないよう必死に越えたとこ ろだ。暫く行くと白高地沢だ。ここにも立派な橋がある。小屋の人が1億円ほど掛けて作った橋だと言っていた。ここも以前人力ゴンドラがあり、沢の中間を越えるとひたすら自力でワイヤーをたぐりながら沢の向こう岸まで行ったのを思い出す。その頃はいつも地下足袋とワラジを常備して、徒渉するなりして沢越えや沢を詰めたものだった。

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白高地沢を越えたところで一休みする。ここからが朝日岳の登りだ。暫く樹林帯が続く。意外に登り易い負担感のない道だ。急に樹林帯が切れ、木道の階段を上りきると花園三角点だ。周辺はハイマツと低木の樹林だが、少し行くと広いお花畑に出る。 天気はイマイチだが、遠望と高山植物が美しい。折角なので、ゆっくり休み食事を取る。

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美しい花園を過ぎると五輪尾根に掛かる。ここは一転して歩きにくい巻き道が多くなる。傾斜はたいしたことないが、アップダウンの滑りやすい道で、意外に時間を取る。そこを過ぎるとカールのような白高地の花園に 出る。高山植物が咲き誇っており、時間にも余裕があるので、休みながらゆっくり歩く。高山植物の写真を撮っていると、知らん間に吹上のコルに着く。ここからはガレ地の山道だ。時間も十分あるので休む。

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吹上のコルからは、気持ちよいコースだ。適当に風もあり、日本海や能登半島の遠望もあり、足下にはあちこちに高山植物が咲いている。景色を楽しんでいる内に頂上に着く。前に登った時は、朝日岳までの登りは、景色の記憶も殆ど無く、苦しい思いだけが残っていた。荷物の所為もあるか、存外良いコースだ。昼過ぎに小屋に着き、缶ビール3本飲み 干す。生はないものの、冷えていて旨かった。

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翌朝も天気は今ひとつで、風も有りヤッケを着ての出発だ。水平道が通行禁止の為、一 旦朝日岳まで登ってから水平道との合流点を目指す。今日は長丁場なので、体力配分や膝に注意をしながら歩く。朝日岳からの下 りは少し足場の悪いところもあるが、まあ普通の道だ。少し行くと小桜ヶ原という湿原がある。少し時季外れだが、まだ水芭蕉も 咲いている。少しガレた所を過ぎると水場に出る。徐々に雪倉岳が迫ってくる。ここから雪倉岳まで、標高差600m程の登りとなる。 比較的歩き易い道だが、適当に休を取り、体力を温存しながら歩く。頂上付近はガスって いるが、雨は大丈夫なようだ。

頂上に近づくと、丁度白馬岳から下山する登山客とのすれ違いの時間帯に入り、それまで静かだった登山道が急に賑わう。結構団体も下山路として朝日岳コースを取っているようだ。頂上から避難小屋までの間も団体が数チームいる。こちらは一人なので通してもらうが、数十人の団体も有り結構大変だ。避難小屋を過ぎるとすれ違う人もまばらになる。 再びマイペースの静かな登山が始まる。

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曇りではあるが、そこそこ景色は見える。白馬の山頂は見えないが、日本海ははっきり見える。岩礫の道だが、ルートもしっかりしており見失うことはない。避難小屋からは標高差で500mほどの登りとなる。曇天と少し強い風の中を進むが、苦しいもののル ートがはっきり見える為、何となく気が安らぐ。ガレた道を一歩一歩歩いていると意外に早く三国境についた。12時目標であったが、30分程早く着き、これなら余裕を持って蓮華温泉まで下れるとほっとする。

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ここで昼食を取る。流石メインルートだけあり、登山客も多い。幸いなことに団体は既に通過しているらしく、いずれも少人数のグループばかりなので、それ程雰囲気は壊れな い。少し下り小蓮華山の登りに掛かる。100m前後の登りと思うのだが、意外に長く感じる。昼も過ぎる頃で、全体にガスが掛かり、 景色は殆ど見えない。更に歩き続け、船越の頭で休憩する。瞬間雲が晴れ、直ぐ近くに白馬大池が見える。やれやれとばかり休む。 雷鳥坂を一気に下ると一面のお花畑と山荘がある。後は下りだけ だが、十分休んでから出発する。

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お花畑を過ぎ、いよいよこれから下りと言うところで躓き、少し怪我をした。やはり気が緩むと何でも無いところでも転ぶものだ。そこ からは細心の注意をし、蓮華温泉を目指す。途中、天狗の庭辺りで雪倉・朝日に掛かっていたガスが切れた。もう一度ゆっくり山を眺め、樹林帯の中を一気に蓮華温泉まで下る。

<コースタイム>
4日 5:11蓮華温泉発→5:36あやめ池→7:03ひょうたん池→7:10白高地沢橋→8:23花
園三角点(20分休)→9:43八兵衛平(10:05発)→10:40吹上のコル(10:55発)→11:28朝日岳山頂(11:50発)→12:20朝日小屋(泊)

5日 5:30朝日小屋発→6:14朝日岳→6:51水平道分岐→9:12雪倉岳山頂(9:30発)→11:28三国境(11:45発)→12:17小蓮華山→12:56船越の頭→13:35白馬大池山荘 (14:00発)→14:47天狗の庭→15:45蓮華温泉 

(各画像キャプション;上から)「五輪高原のお花畑」「白高地のお花畑」「朝日岳」「小桜ヶ原から雪倉岳」「鉢の鞍部から白馬方面」「白馬大池のお花畑」「天狗ノ庭から朝日岳」

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