戒厳令

C丸岡です。

仕事で日本の外に出かけるなどということを初めて経験したのは確か26歳のときだったかと。いやはや、えらい昔のことでして。で、30歳を過ぎたころから、そのような「行ったり来たり・出たり入ったり」の繰り返しが常態化し、今に至るまで続いておりまして。

そんなわけで、5月27日からまたぞろバンコクに来ております。
折しもタイではクーデター。軍政が敷かれ戒厳令のまっただ中。とは言え、そこはそれ、タイ王国のことですから、街中はいつもどおりの賑わいで、行き交う人には緊張感の「キ」の字もございません。つまり、まったくフツ~。まあ観光客の数はちょっとは減ってるんでしょうけど。

 バンコク写真1  バンコク写真2

さて、6月1日は日曜日。のんびり起床。バンコク滞在ではほとんど習慣になってるお寺参り(戦勝記念塔からそお遠くないお寺)を昼前に。ラーメン食べて、まあ映画でも観ようかと。こちらでは、ほとんどのハリウッド映画は日本より早く封切りされてまして。そういえば「ゴジラ」やってたなあと、タクシーで「ターミナル21(大きなデパート+シネマコンプレックス)」のあるアソク(Asok)までやって来たんですが。アソクの高架鉄道の駅前でタクシー降りると、おや、お巡りさんがうろうろ、野次馬もがやがや。ターミナル21の1階の扉はとざされたまま。なんのこっちゃと駅に上がってみると、お巡りさんが駅からデパートへの通路を封鎖してまして(写真1)。で、駅の改札はシャッター下ろして入場禁止(写真2)。中を覗いてみると、おやま~、お巡りさんじゃなく兵隊さんが盾を並べて怖い顔(写真3)。あらま~、なにがあるんやろ。

バンコク 写真3

横にいたタイ人がなにやら話しかけてきましたが、タイ語は、ねぇ、さっぱりわからんもんで。とにもかくにも買い物も映画も駄目なので、こんなことならMBKかセントラルか(別の商業施設のこと)に行けばよかったとブツブツ言いながら、とりあえずは近くの喫茶店へ。フリーwifiがあったので、コーヒー飲みながらiPhoneでしばらく時間つぶし。けど、結局なにも起こらずじまい。あの物々しい警戒体制はなんやったんでしょ。

ところで、日本のテレビや新聞では、また民主主義を標榜する欧米各国政府の論調は、タイ国軍によるクーデターを「よろしくないこと」と批判的ですけどね、あえて極論するなら、こちらの国では(さらにあえて言うなら東南アジアあたりでは)クーデターも政治的な選択肢のひとつなんだよね、ということを知っておいたほうが良ろしいのではないのかと。機械に「自動モード」とか「手動モード」があるように、こちらの社会システムには「クーデターモード」というボタンがあらかじめ装備されてるようなもんでして。

「クーデター →軍政 →独裁 →悪」と連想する図式的単純思考では、ちょっと推し量ることのできない様々な事情や文化がそれぞれの国には、やはり、あるようでして。

そんなこんなで、帰るまでには「ゴジラ」を観るぞと改めて決心した次第。・・なんのこっちゃ。


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